社会人出身の大学教員(社会科学系) 萬日記

このブログは、社会人経験10年後に大学教員(関東中堅私大)になった36歳おっさんの日常の雑感を綴ったものです。

社会人から大学教員になるためには(詳細編 ケース1️⃣ 社会人経験5年未満の場合)その一

 おはようございます。本日も誰もいない共同研究室を謳歌しております。

さて、今回は前回ざっくり概要編を書いた、社会人から大学教員になるためにはを詳細編で書きたいと思います。なお、前提条件として、分野は社会科学系でのお話となりますのであらかじめご了承ください。

  まず、どの程度社会人経験をされているかで、行程が全然違いますので、何ケースかに分けて考えて行きたいと思います。

ケース1️⃣ 社会人経験5年未満(概ね30歳未満)の場合

  まず、大学院の修士課程に進学する必要があります。大学教員の公募は修士課程以上の学位が求められるので、働きながら通学できる大学院に進学しましょう。社会科学系の分野では社会人入学を奨励しているところも多くあり、修了までの期間を予め長く設定している大学もあります。(通常は2年間です)

 ここでの注意点は下記の通りです。

①研究分野は、将来性を見据えたもので、かつ興味関心があるものを選ぶ。

 学部の時に学んだ分野と違っても構わないと思います。しかし、現在働いている業界と全くかけ離れた分野ですと、社会人出身教員のメリットがほとんどないというのが現状です。

 

②選んだ研究分野を研究している大学教員がいる大学院を複数候補探す。

 大学と違って大学院(修士課程)では、大学のブランドではなくあなたの生涯のお師匠さんになる方から研究方法等を学ぶことになります。お師匠さん選びを間違うと明るい未来は訪れませんので、くれぐれもご注意を。

 

③複数選んだ候補の大学院と所属する教員(お師匠さん候補)を調べる

 候補の一つ一つを詳細に調べて行きましょう。なお、最低限ですが下記条件を満たす教員(お師匠さん候補)がいることを確認しましょう。

  ・教員の年齢が40歳以上60歳未満であることを

 →若い先生だと、修士課程後の博士課程を担当できない場合もありますし、博士課程後の就職の際にあまり助けにならない場合が多いです。また、退官(定年退職)が近い先生だと、修士課程後の博士課程まで指導いただけない場合もありますし、博士課程後の就職の際も兄弟子の順番待ちで長年苦労するという可能性が高くなります。

 

  ・教員が修士課程、博士課程ともに指導可能であること

→大学教員の中には、業界で著名な先生でも博士の学位を持っていない方や教員歴が浅い方がいらっしゃいます。そして、そのような方々の多くは、修士課程までしか指導できない可能性がおおいにありますので、ちゃんと確認しておきましょう。(大学HPで確認できます。分からない場合は、電話で問い合わせしましょう)

 社会人から大学教員になるためには、出来るだけ最短距離でかつスムーズに物事を進めていく必要があります。(修士課程と博士課程で指導教員を変更することは非常に大変です。今後の人脈形成にも多分に影響があります。)

 

  ・教員が、その分野である程度の活躍(活動)をしていること

→大学教員(社会科学系)への道は、1に運(タイミング)、2に人脈、3に人柄、4に実力(研究業績や経験)です。ある程度、業界で活躍されている先生の方が様々な人脈をお持ちですので、あなたにとって貴重な武器になり得ます。

  なお、忙し過ぎると十分な指導を受けられないというデメリットもありますので、業界の横綱級ではなく、今後、横綱級になるであろう教員を探すことが出来るとなお良しです。

 

 ・教員が定期的に、修了生を出していること

→これはかなり大事です。定期的に修了生を出しているということは、適切な指導を受けられる可能性が高いのと同時に、業界での兄弟子さんたちとの人脈形成を築く機会が多いことが期待出来ます。

 大学のHP等に修了生の修士論文が掲載されていると思いますので、確認しましょう。(指導教官の記載がない場合は、謝辞のページに先生のお名前が載っていると思います。)

  

④大学院説明会に参加した上で、自分の研究計画書を立てて、受験前に先生(お師匠候補)と連絡を取る

→ここまで調べれば、自ずとあなたの条件に見合うお師匠候補が1人もしくは2人に絞られていると思います。その後は、受験の準備を進めて行くことになります。

 まずは、大学院が開催するの説明会に参加して、受験の詳細、カリキュラムの詳細等を色々と確認しておきましょう。

  その後、自分なりの研究計画書(ここは完璧なものでなくて全然大丈夫です)を書いて、受験前にお師匠さん候補にアポイントを取って事前挨拶が出来れば、完璧です。

  先生によっては、事前に指導可能かどうかを確認していない場合は、指導教官になってくれないという事態が起こり得るので気をつけてください。(大学は、学費収入が欲しいので、その辺りのことは入学後にどうにでもなると考えがちです。入学したは良いが、希望の先生のもとでは研究できないという事例を良く見聞きしますので)

 

⑤受験勉強をして、無事に合格する

→受験については、可能な限り社会人受験(学部卒の受験生とは異なる受験方法)を受けることをお勧めします。(難易度が下がるため)

受験勉強は、英語と専攻分野の小論文を勉強しておけば問題ないと思います。相当人気がある大学院以外は、事前にお師匠候補の先生と連絡を取り合うことが出来ていれば落ちることはないと思います。

 

以上が、大学教員になるファーストステップとなる大学院(修士課程)に入学する流れです。

思ったより、長文になりましたので、続きは明日にしたいと思います。