社会人出身の大学教員(社会科学系) 萬日記

このブログは、社会人経験10年後に大学教員(関東中堅私大)になった36歳おっさんの日常の雑感を綴ったものです。

教育の放棄リレーのアンカーとして

 皆々様お久しぶりでございます。コロナ禍の影響が出る前にから更新出来ておらず、申し訳ありません。無理のないペースで発信していきたいと思います。

 さて、世の中は相変わらずコロナコロナですが、大学業界も御多分に洩れず、私の本務校も絶賛オンライン授業中でございます。

 授業日までには資料を大学のポータルサイトにアップロードして、zoomやらYouTubeやらで授業を展開しております。

 そんな中で実感することは、授業をしていて不可思議研究所の研究対象になりそうな学生さんが多いこと多いこと。つくづく高校までの先生方が教育の放棄リレーを繋いできたことを実感させられます。

 リアルタイムのオンライン授業で、マイクをオフにするのを忘れて私生活をさらけ出すのは序の口です。顔出しを求めていないので、音声のみ聞こえてくるのですが、「そこはどこ?」と聞きたくなるような毎日です。

 またオンライン授業になったことで課題を求める授業が多くなったことも、そういう学生のフィルタリングになってると思います。最近の学生はびっくりするくらい文章が書けないです。

 新聞を読まないのは当たり前で、スマホでニュースすら見ない学生が大半な状況もあり、世間話ですら「この先生何を言ってるの?」状態です。

 それでも、社会人になる前の最後の砦(アンカー)として、何か彼らに出来ることはないかと日々悩んでおります。

 

隣のお人は何する人ぞ。

 こんなマニアックなブログに訪問いただきありがとうございます。
 タイトルは、大学の研究室のお話です。どこの大学もそうだと思いますが、実質個人事業主の集まりである大学教員はお互いのことをびっくりするくらい知りません。
 もちろん他の先生の単独授業なんてFD研修であるかないかくらいのレベルですし、そもそも興味がない方々がほとんどだと思います。
 お互い干渉せずが、大学における不文律ですね😃
 それでも、小窓から見える他人の研究室は気になるものでございます。
 先生によって、雰囲気が全然違うので、たまに打ち合わせ等でお邪魔すると気になって仕方がありません。
 

ご無沙汰してしまいました。(助教と講師の格差について)

 どうも長らくご無沙汰してしまっておりました。約半年振りの更新です。

今後は出来る限り、ペースを保ちながら色々と書いていければいいかなと思っております。

 実はわたくしごとで恐縮なのですが、4月から任期なしのアカデミックポストに就くことが出来ました〜。そのドタバタもあり、ようやく落ち着いてきたので、ブログ再開と相成りました。

  採用面接の流れや大学間の異動のあれこれなども書いて行けたらと思います。なお、職階もこれまでの助教から専任講師にレベルアップすることが出来ました!

  4月の着任から2ヶ月しか経っていないのですが、助教(任期あり)と講師(任期なし)の間にはこれほどまでに格差があるのかと感じる今日この頃です。

    内容は、大学によりけりだと思いますが、下世話な話、給料が約1.5倍になりました。(やっと奨学金の返済ペースを上げられる) まぁその分、学内業務と責任も2倍近くになりましたが。。

   他には、教授会に参加出来るようになったこと(前任校でも助教として参加できましたが構成員ではありませんでした。)、担当科目は増えましたが、出退勤、外部との仕事などの自由度が格段に上がったことがありがたいですね〜。

  なにより、任期なしというのは精神衛生上この上ない安心感があります。(ぶっちゃけこれが断トツの1番かも)

   そんなこんなで、時折、助教と講師以上の格差についても触れていきたいと思います。

次回は、5月にやった学会発表について書けたらと思います。

大学教員のデメリットについて その②

 おはようございます。前回の日記を書いた後に、入試やセンター試験の監督業務でドタバタしておりました。

 ちょうど1月中旬から2月中旬は、後期試験と本務校の入試業務、センター試験の監督業務と続き、中々忙しい時期でございます。

 さて、前回大学教員のデメリットについて その①の続きです。ここでは、デメリットBEST4を書きたいと思います。

  ずばり、BEST4「論文(研究)を書き続けなければ明日はない」です。

これは、デメリットというより、大学教員(研究者)の宿命ですし、研究が好きな人にとってはデメリットと感じない先生方も多くいると思います。もちろん、私自身も研究や文章で何かを表現することがとても好きなので、論文を執筆すること自体は全然苦ではないです。

 では、なぜデメリットとして挙げたかというと、論文を執筆する動機がどうしても自分の雇用と密接な関係になってくるからだと思います。今の若手研究者の多くは、最初は3年程度の任期付きから教員人生をスタートすることになるのですが、任期無しのいわゆるテニュアでの雇用を望むのであれば、研究業績が必須となってきます。

 また、短い任期の最中に、滞りなく次の雇用にありつくためには、定期的かつ頻繁に研究業績を積まなければなりません。大学教員の世界は、学生数の減少とともに年々、そのポストも少なくなるので、鎬を削るライバルは大勢います。

 そうすると、成果が出やすい研究であったり、見た目の研究業績を増やすことができる共著などの研究に重きを置かざるを得ず、本当に自分のやりたい研究に本腰を入れて取り組むことが難しくなっていきます。

 理想は、自分がやりたいと研究を、しっかりしたプロセスを経て実施するのが良いのですが、なかなか折り合いがつかないこともあると思います。(自然科学系の研究は特にこの傾向が顕著だと聞きますが、社会科学系も然りです。)

 また、前回にもあげた学内業務が若手研究者には否応なしに降りかかってくるので、研究能力と色々なマネジメント能力も必要だと日々実感しています。

 あと、研究にはどうしても研究費用が多少なりとも必要ですが、研究費の獲得も若手教員はなかなかハードルが高いので、単独の研究ではなく先ほど挙げた手を出しやすい研究から初めて、そのままずるずる任期まで行ってしまうという若手研究者も周りにいらっしゃいます。

 そうすると、いつの間にか任期が切れてしまい、中年でプー太郎(実家があればニート)やひも生活に落ちいる(そして、研究者である所属先を失い、再就職がまた難しくなる)という暗い闇が待っています。

 デメリットのBEST4で、このレベルの闇だと、BEST3以上はどうなるんだと思いますが、今日はこの辺で終わりたいと思います。

 今日は一日、後期の成績付けでございます。(評価基準を毎回授業時に実施する小テストに設定してしまったことを超絶後悔しております。100人分×14回の小テストの管理は地獄でした。。一発定期テストにすればよかった。。) 

 

大学教員のデメリットについて その①

 おはようございます。本日は、昨日中に後期の担当授業がすべて終了しましたので、久方ぶりにゆっくりと研究室で仕事をしようと思っております。

 パーティションを挟んだお隣の同僚(勤務大学は、助教は共同研究室なのです)は、忙しいそうに引継ぎ準備をしていらっしゃいます。(来年度から任期なしの転職が決まったとのこと、うらやましい限りです。)

 さて、本日は先日の大学教員のメリットに続き、大学教員のデメリットについても書いていきたいと思います。

 大学教員のイメージは、メリットの印象の方が強いので、あまりデメリットがないのでは?と思われがちですが、そんなことは絶対にありません。冷静に考えるとデメリットの方が圧倒的に多いと思います。といういことで、私的な大学教員のデメリットBEST5を発表したいと思います。(ほんとBEST10でも足りないくらいですが、地味なデメリットは別記事の「BEST5入りはしないけれども、地味にきついデメリット」でお話したいと思います。

 なお、このデメリットについては日頃のマグマのように蓄積した私自身の熱すぎる思いがあるため、複数回に分けて書くことをお許しください。(涙が、、、、)

 

 まず、BEST5は、「入試業務などの学内業務が多すぎる」です。

 大学教員は授業(ゼミを含む)と自分の研究だけに専念できる素敵な職業なんて妄想を誰か世間に植え付けたのでしょうか?と嘆きたい今日この頃です。一部の超一流大学を除いてほとんどの大学が少子化のあおりを受けて、学生獲得に積極的にならなければ大学経営に行き詰る時代でございます。

 その流れで、高校生を対象にしたオープンキャンパス、高校訪問(出前講座をしたりすることも)、入学相談会、推薦入試(うちは何回もやります。)、特別入試(卒業生の子息を対象)一般入試、AO入試などが、目白押しでございます。

 教員はそれぞれの担当に複数割り当てられるのですが、当日の拘束だけでなく前後の準備(資料作成、問題作成等)や後片付け(採点業務など)に大幅に時間を取られるのが実情です。

 肌感覚的には、毎月一つは何らかの学内業務の担当になっているので、常に何等かの仕事を授業と研究と並行してやっているイメージです。(本務は偏差値が高くない中堅私立大学なので、本当に多いです。)

 また、上記の業務は言うなれば外部向けの仕事であり、内部向けの仕事もびっくりするほどございます。学事日程を作る部会(うちは何でも「〇〇部会」と名付けています)、入試問題を作る部会、教職員研修を担当する部会(FDですね)、研究倫理を担当する部会、図書館関係を担当する部会、オープンキャンパスや入試相談会を担当する部会、学生相談や学生の保健衛生に関する部会、大学との地域連携を担当する部会、大学院を担当する部会、取得資格ごとに実習や実習指導を担当する部会、学生のキャリアパスを担当する部会、などなどがあります。(おそらく、私が把握しきれていない他の部会もあるはずです)

 よく、非常勤教員と常勤教員の差は、学内業務をするかしないとう説明があると思いますが、この学内業務というのが上記の業務に該当します。また、その他に上記部会の進捗状況等を確認、承認する一番大きな会議である「教授会」が毎月1回程度開催されることになります。

 以上のように、常勤の大学教員は、日々の授業と研究や学生対応以上に上記の学内業務に忙殺されているのが現状だと思います。

 ちなみに、社会科学系の学部では一般的に、週1日程度「会議日」というのが毎週固定曜日に設定されていて、その会議日に色々な会議をしていくことになります。一つの部会で1時間から2時間、教授会は最低2時間ですから、1日で3つから4つの会議をこなすだけで、朝から晩まで状態になります。。

 こんな学内業務があるのは、大学教員にとってデメリットと言って良いと思います。。次回は、これ以上にデメリットと感じるBEST4をお送りしたいと思います。

 ちなみに今日の私の仕事も終日、学内業務に関する事務仕事でございます。。

 

 

大学教員のメリットについて

 こんにちは。本日は、成人の日(祝日)ということもあり、大学内にはほとんど学生の姿が見られません。さすがに普通の祝日の月曜日は授業があるのですが、成人の日は該当学生が多すぎるためか、全休になる大学がほとんどだと思います。

 一般的な大学では、年が明けると後期授業の後半に差し掛かり、期末テストの準備や入試業務(センター試験もそうですね)等で忙しくなる時期です。社会科学系の学部では、1月~2月で国家試験(卒業見込みで4年生が受験)も多く実施されるので、てんやわんやです。

 さて、本日は大学教員のメリットについて書いていきたいと思います。私は、社会人から大学教員に転身した身なのですが、大学教員になる前に「これはメリットだろうなぁ」と考えていたものが、意外とそうでもなかったりすることもあります。

 ということで、まだまだ大学教員になり立ての私が感じる「大学教員のメリット」をBEST5形式で発表したい思います。

 

  BEST5 「仕事のマネジメントが自分自身でできることが多い」

 社会人出身なので感じることかもしれませんが、日々の仕事のマネジメントの主導権が自分にあるという環境は、非常にやりやすいと感じます。

(多少のチームプレイが必要な学内業務はありますが)会社という組織で働いているとそうはいかず、その環境に適した仕事のやり方が求められますが、大学教員はある程度、自分自身で仕事の進行管理ができるので、社会人時代に感じていた人間関係に起因するストレスは激減したと思います。(裏返すとすべて自己責任になるという大きなリスクもありますが)

 

  BEST4 「服装や髪型等の身だしなみに制限が少ない」

 一般的に大学の教員は、服装や髪型等の身だしなみが自由な人が多いイメージがあるかと思います。メディア等に出演されている著名な先生方の中にも奇抜なファッション(他人から見れば)をされていらっしゃる方も多くいます。私自身は、臆病ものかつおしゃれに無頓着な人種なので、あまり恩恵を受けていない気がするのですが、よくよく考えると「毎日スーツを着なくてよい」という大変な重要な恩恵を受けていることに気づきました。

 社会人時代は、毎日スーツ(ちゃんと違った種類のを)を着ることがかなり億劫でしたが、教員になってスーツを着る機会がほとんどなくなりました。(入学式、卒業式、実習等の巡回方法、学会や外部の委員会出席時くらい)基本的な服装として夏は、無職のポロシャツに無地にパンツにカジュアルブーツ、春・秋はその上にカーディガン、冬はセーターを中に着込むくらいです。

(教員の中にはあえてスーツをかっこよく着こなしている先生方もいらっしゃいますし、警官から職務質問されないか心配な服装の方も中にはいらっしゃいます。)

 

 BEST3 「業務上の直接指揮・指導権を持つ上司がいない」

 これもBEST5のマネジメントにつながるものですが、上司からとやかく言われることがなくなったのは非常にありがたいとなぁと感じてしまいます。(当時、指導をいただいた上司の方に感謝を込めて)

 ですので、音楽を聞きながら仕事をしていたり、携帯をいじりながら仕事をしていても怒られることはほとんどありません。(ちゃんと仕事(結果を出す)をしていれば)また、大学という組織で共有しているルールに逸脱しない限りは、「〇〇はこうだ!」と発信しても「〇〇先生の考え方だから。」とある程度許容される土壌があるのは非常にありがたいことです。「多様性を認める」ということだと思うのですが、一般企業(特に営利企業)では、なかなか難しいかなと感じることが多いです。

 

 BEST2 「(やることなすこと)起案を立てなくてよい。」

 「起案って何?」って思われた方。学生さんかはたまた羨ましい環境(そうでもないかもですが)にて仕事をされている方とお見受けします。

 「起案」というのは、上司や組織に対して「これから〇〇をしますので、よろしくお願いいたします。」という確認作業のようなものです。行政関係の仕事をしている人は特に共感いただけると思いますが、起案が必要な職場では、「やることなすこと」起案が必要な場合が多いです。例えば、何か物品を購入するにしても、「購入してよろしいでしょうか?」という起案文書と上司や組織の確認(押印)が必要になります。そして、この起案文書に決裁(許可がおりること)が下りてやっと行動に移すことができます。大きい組織や重要な仕事だと、起案文書を作成して決裁が下りるまで最短で一週間かかることも良くある話です。

 その点、大学教員の仕事は大前提として「自己責任を前提とした事後報告」という仕事の仕方がありますので、教員に転身して起案を立てる機会は出張や大型器具の購入する時くらいしかありません。

 これは、社会人出身の自分の中で、かなり嬉しかったことの一つでした。

 

そして栄えあるBEST1は、

 BEST1 「(自分に対する用件以外の)電話に出なくてよい」です。

 これこそが大学教員のメリットだと断言できます。昭和生まれの社会人だと、必ず新人時代に電話を率先して取るように指導された世代だと思いますが、大学教員は基本自分に用事がある人以外からは電話がかかってこないので、非常にありがたいことです。

「外部からの電話はツーコール以内に出ろ。スリーコールで出たら「お待たせしてすみませんから話せ!」」と指導されたあの頃が懐かしいです。(遠い目)

私は電話で話すこと自体は、苦手ではなかったのですが、自分以外の同僚や上司への電話を取りつなぐ行為はとても嫌でした。(めんどくさい&時間が取られる:メモを取ったり、伝言を受けたりと派生する仕事が結構ありますよね)

 

 いかがでしょうか?社会人の読者の方には、共感いただける項目が少なからずあったと思います。次回は、逆にデメリット(こちらの方が圧倒的に多い気がしますが)について書いてみたいと思います。さぁ、期末テストの問題を作らねば。(その後の採点地獄を考えるとフリーアンサー形式は避けたいですね。)

 

 

 

 

 

 

助教が単独授業を持つことについて

 おはようございます。大学では、後期も終盤に差し掛かり、1月末から2月初旬に期末試験というスケジュールを組んでいる大学が多いと思います。
 社会科学系に限ったことではないと思いますが、教員の末端構成員である助教が単独で授業を持つことは、なかなかないというのが現状ではないでしょうか。
 責任教員の補佐的な位置付けで、複数教員で授業を持つというのがスタンダードだと思います。
 まぁ大学によっては、実際はほぼ助教が授業を回しているということもしばしばあるのですが。
 そんな中で、私は社会人出身ということもあり、いくつかの授業を単独で持たせてもらっているので幸運な方だと思います。
 単独授業が持てない助教が、なかなか教育歴を積み重ねることが出来ず、次のステップに移行出来ないなんてことも多いにあるからです。以前にお話したプロ助教が生まれる背景の一つだと思います。
 なので、本務大学で単独授業が持てない助教は、研究日を使って他大学や専門学校で非常勤講師をして教育歴をつけるという修行をやっている方々がけっこういます。(お小遣い稼ぎにもなります。)
 やはり新しく公募を出す大学としては、新任教員に受け持ってもらいたい授業の経験がない人を候補者にはしにくいという現実もあります。
 大学教員になるためには大学教員の経験が必要ですという新人を生まないトラップと同じで、つくづく新人には厳しい業界だなぁと感じる今日この頃です。