社会人出身の大学教員(社会科学系) 萬日記

このブログは、社会人経験10年後に大学教員(関東中堅私大)になった36歳おっさんの日常の雑感を綴ったものです。

(恐怖の)授業アンケートについて

 おはようございます。後期の冬休みが終わり、本日から校内に学生が増えてきましたね。髪の色や髪型がドラスティックに変わっている学生さんを目の前にした時のリアクションを考えてないといけない時期です。
 さて、本日は、ぺーぺーかつ任期あり末端構成員である私にとっては恐怖の授業アンケートについてです。
 授業アンケートはその名の通り、各科目の受講生に対して実施されるアンケートであり、学生からの率直な教員評価です。
 大体の大学は、無記名でアンケートを取っているので、極端に少人数しか受講生がいない場合や個人が特定できる内容でない限り、どの学生の意見かは分からないシステムです。
 特に自由記述欄にわざわざ書き込みをして頂ける学生さんは、それだけ思いが強い証拠ですので、教員も真摯に受け止めなければならないのですが、これに耐えることができる鉄のメンタルが必須でございます。
 授業とは関係ない罵詈雑言は、優しい事務方職員さんがデリートしていただけるのですが(たまにそのまま残されており、心臓にナイフが刺さる時もしばしばあります)、授業に関する厳しいご意見をいただくと心が折れそうになることもあり、身が引き締まる思いです。(反省せねば)
 また、任期付きの教員にとっては、今後の任期なし教員への道を阻む落とし穴になりかねないので、大変です。
 一例を挙げると、アンケート結果を教員の評価項目の一つに組み込んでいる大学もあると聞いたことがあります。(任期あり教員にとっては、些細なマイナスイメージも命取りになりかねませんので。)
そんなこともあり、学生には非常に気を使っている今日この頃です。
  

新年の書き始め

 遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。今回の年末年始は、なかなかパソコンに向かう時間が取れず、本日ようやく自宅のデスクにて週明けからの仕事の準備を始めているところです。

 独身なので、実家に帰ってパラサイトをしておりましたが、30代も後半になるといつまでも実家に長居できませんね。(甥っ子、姪っ子にお年玉という恐喝を食らいました)

 さて、昨年末に始めたこのブログですが、今年もゆるりと大学のことや大学教員の傍らでやっている副業(もうライフワークみたいな趣味ですね)のことを書いていければと思っておりますので、何卒よろしくお願いいたします。

 大学教員の中には、非常勤講師を含めた副業を一切していない方(社会科学系では珍しいと思います)もいますが、なにぶん私は、大学教員になったばかりの末端構成員でございますので、社会勉強(一般社会とのつながり)のためにも、無理のない範囲で色々な副業を体験していきたいと思っております。

 (コメントとかをいただけると非常にうれしいです)

 次回の記事からは、通常運転で行きたいと思います。それでは、読者の方々がいると信じて、次のネタを考えたいと思います。

大学職員さんについて

 おはようございます。ようやく昨日(正確には本日未明)中に、来年度のシラバスを作成することが出来ました。
 若手教員&私のような任期付き助教というアカデミー界の末端構成員は、大学の各種提出書類はマッハで対応しないといけません。
 グリーンカード(永住権)をお持ちの諸先輩方々のように、ゆったり締切過ぎてから対応するなんてことは絶対に出来ません。
 さて、本日は大学教員のお話ではなく、大学職員さんたちについて書いていきたいと思います。
 大学職員とは、その名称の通り大学に勤務されている職員さんのことで、一般のサラリーマンさんと同じように事務仕事を中心として大学の様々な仕事をされています。
 大学教員は、不思議な方々が多い(しかいないかも)中で大学が何事もなく運営できているのは、一重に大学職員さんたちの働きあってのことです。
 大学教員がたまに生徒についての皮肉を言う際に、「うちの大学は先生ではなく動物園の飼育員だ」とダイナミックな発言をされる先生がいらっしゃいますが、大学職員の方から見れば学生も大学教員も似たようなものだと思われているに違いありません。
 授業を時短する、動画を長時間流すは序の口ですし、学内の仕事はしない、提出書類はちゃんと出さない、大学にあまりいないので連絡が取りづらいなど、動物園の飼育動物どころかサバンナやジャングルの住人を相手にしないといけない大学職員さんは、飼育員どころかモンスターハンター並みの力が求められますよね(うちの大学だけかも知れませんが)。
 そんな大学職員さんと良い関係を築いていくためにも、日々のやり取りを誠意を持って対応しないと何かあった時に手を差しのべてくれなくなります。
 一例を挙げると、教員の公募書類を最初に見る、担当教員が審査しやすいように整理するのも大学職員さんですしね。大学教員(例えば学長などのお偉いさん)が公募書類を見る際の順番で採用不採用が決まるなどの都市伝説もあるくらいです。
 そんなこんなで、いつどこで恩恵(その逆の方が多いと思いますが)に預かれるか分からないので、若手教員&グリーンカードを持っていない教員は、
大学職員さんたちとの良好な関係を築く必要があるのです。

シラバス作成の時期がやって来ました

 こんばんは。今日は一日自宅とネットカフェで、来年度に向けた授業シラバスの作成にあたっておりました。
 例年、年末年末のお休み期間を利用して作成しておりますが、毎年多少なりともカスタマイズが必要なので一苦労です。
 もう少しで本務校分がおわりそうなので、続けて非常勤講師先の分まで一気に行きたいと思います。 
 このシラバスは学生にあまり重要視されないのですが(重要ですよ❗)、教員にとっては内外に担当する授業について情報公開できる唯一にちかいツールです。
 また、落ち着いたらシラバスについても詳しく書いていければと思います。
 本日は、短文で失礼します。

社会人から大学教員になるためには(詳細編ケース1️⃣社会人経験5年未満の場合)その二

おはようございます。本日はクリスマスですが、キャンパスに学生の姿は見当たりません。(昨夜から遊び続けている学生も多いと思います)

 

 さて、昨日に引き続き、社会人から大学教員になるための詳細編ケース1️⃣その二を書いていきたいと思います。

  無事に、大学院の修士課程に進学出来たら、まずは確実に余裕があるうちに単位(授業)を取得していくことをお勧めします。日中仕事がある社会人が研究(授業)に費やせる時間は非常に限られています。

  ですので、やはり現在の仕事と関連した研究をすることが1番良いと思います。仕事をしながらも研究の役に立つと両方のモチベーションも上がりますしね。

  ちなみに私は、大学院(修士課程、博士課程共に)では、自分の仕事に関連したテーマで論文を執筆しました。仕事上で、今のお師匠さんと顔見知りであったことも研究をスムーズに進めることができた大きな要因だと思います。

   大学院(修士課程)までは、大学の授業のような形式で授業(指導)が少人数で行われることが多いです。人数が少ない分、発表等の準備が必要な授業もけっこうあるのが大学と違うところです。

  学生の身分のままであれば、修士課程は必要取得単位数もそんなに多くはないのですが、夕方以降の時間や土日などしか決まった休みを取れない社会人学生にとっては、初年度から計画的に単位を取得していかないと、最悪留年もありますのでご注意ください。(単位は取れていても修士論文が書けず、留年する人の方が圧倒的に多いですが。)

 また、単位取得と並行して、修士論文の執筆をしなければならないのですが、どの大学院も、論文執筆については奨励している執筆スケジュールがあると思いますし、定期的に中間報告会を設定しています。博士論文に比べると修士論文は、難易度は高くないので、修士課程の間に色々と論文執筆の経験をしておいた方が良いでしょう。

 また、修士課程の間は、あなたのお師匠さんも比較的優しく色々なことを教えてくれるはずです。

 そして、社会人学生の場合は、非常勤講師等の経験を積むことは難しいと思いますので、せめて研究業績(学会発表や論文投稿)を一つでも多く積むことに力を注げると良いと思います。学内学会や学内の研究紀要も立派な業績になりますので、地道に頑張ってください。

 

社会人から大学教員になるためには(詳細編 ケース1️⃣ 社会人経験5年未満の場合)その一

 おはようございます。本日も誰もいない共同研究室を謳歌しております。

さて、今回は前回ざっくり概要編を書いた、社会人から大学教員になるためにはを詳細編で書きたいと思います。なお、前提条件として、分野は社会科学系でのお話となりますのであらかじめご了承ください。

  まず、どの程度社会人経験をされているかで、行程が全然違いますので、何ケースかに分けて考えて行きたいと思います。

ケース1️⃣ 社会人経験5年未満(概ね30歳未満)の場合

  まず、大学院の修士課程に進学する必要があります。大学教員の公募は修士課程以上の学位が求められるので、働きながら通学できる大学院に進学しましょう。社会科学系の分野では社会人入学を奨励しているところも多くあり、修了までの期間を予め長く設定している大学もあります。(通常は2年間です)

 ここでの注意点は下記の通りです。

①研究分野は、将来性を見据えたもので、かつ興味関心があるものを選ぶ。

 学部の時に学んだ分野と違っても構わないと思います。しかし、現在働いている業界と全くかけ離れた分野ですと、社会人出身教員のメリットがほとんどないというのが現状です。

 

②選んだ研究分野を研究している大学教員がいる大学院を複数候補探す。

 大学と違って大学院(修士課程)では、大学のブランドではなくあなたの生涯のお師匠さんになる方から研究方法等を学ぶことになります。お師匠さん選びを間違うと明るい未来は訪れませんので、くれぐれもご注意を。

 

③複数選んだ候補の大学院と所属する教員(お師匠さん候補)を調べる

 候補の一つ一つを詳細に調べて行きましょう。なお、最低限ですが下記条件を満たす教員(お師匠さん候補)がいることを確認しましょう。

  ・教員の年齢が40歳以上60歳未満であることを

 →若い先生だと、修士課程後の博士課程を担当できない場合もありますし、博士課程後の就職の際にあまり助けにならない場合が多いです。また、退官(定年退職)が近い先生だと、修士課程後の博士課程まで指導いただけない場合もありますし、博士課程後の就職の際も兄弟子の順番待ちで長年苦労するという可能性が高くなります。

 

  ・教員が修士課程、博士課程ともに指導可能であること

→大学教員の中には、業界で著名な先生でも博士の学位を持っていない方や教員歴が浅い方がいらっしゃいます。そして、そのような方々の多くは、修士課程までしか指導できない可能性がおおいにありますので、ちゃんと確認しておきましょう。(大学HPで確認できます。分からない場合は、電話で問い合わせしましょう)

 社会人から大学教員になるためには、出来るだけ最短距離でかつスムーズに物事を進めていく必要があります。(修士課程と博士課程で指導教員を変更することは非常に大変です。今後の人脈形成にも多分に影響があります。)

 

  ・教員が、その分野である程度の活躍(活動)をしていること

→大学教員(社会科学系)への道は、1に運(タイミング)、2に人脈、3に人柄、4に実力(研究業績や経験)です。ある程度、業界で活躍されている先生の方が様々な人脈をお持ちですので、あなたにとって貴重な武器になり得ます。

  なお、忙し過ぎると十分な指導を受けられないというデメリットもありますので、業界の横綱級ではなく、今後、横綱級になるであろう教員を探すことが出来るとなお良しです。

 

 ・教員が定期的に、修了生を出していること

→これはかなり大事です。定期的に修了生を出しているということは、適切な指導を受けられる可能性が高いのと同時に、業界での兄弟子さんたちとの人脈形成を築く機会が多いことが期待出来ます。

 大学のHP等に修了生の修士論文が掲載されていると思いますので、確認しましょう。(指導教官の記載がない場合は、謝辞のページに先生のお名前が載っていると思います。)

  

④大学院説明会に参加した上で、自分の研究計画書を立てて、受験前に先生(お師匠候補)と連絡を取る

→ここまで調べれば、自ずとあなたの条件に見合うお師匠候補が1人もしくは2人に絞られていると思います。その後は、受験の準備を進めて行くことになります。

 まずは、大学院が開催するの説明会に参加して、受験の詳細、カリキュラムの詳細等を色々と確認しておきましょう。

  その後、自分なりの研究計画書(ここは完璧なものでなくて全然大丈夫です)を書いて、受験前にお師匠さん候補にアポイントを取って事前挨拶が出来れば、完璧です。

  先生によっては、事前に指導可能かどうかを確認していない場合は、指導教官になってくれないという事態が起こり得るので気をつけてください。(大学は、学費収入が欲しいので、その辺りのことは入学後にどうにでもなると考えがちです。入学したは良いが、希望の先生のもとでは研究できないという事例を良く見聞きしますので)

 

⑤受験勉強をして、無事に合格する

→受験については、可能な限り社会人受験(学部卒の受験生とは異なる受験方法)を受けることをお勧めします。(難易度が下がるため)

受験勉強は、英語と専攻分野の小論文を勉強しておけば問題ないと思います。相当人気がある大学院以外は、事前にお師匠候補の先生と連絡を取り合うことが出来ていれば落ちることはないと思います。

 

以上が、大学教員になるファーストステップとなる大学院(修士課程)に入学する流れです。

思ったより、長文になりましたので、続きは明日にしたいと思います。

 

  

大学から配分される個人研究費について

 おはようございます。本日は、日曜日ですが大学に出校して残務処理をしております。年内の仕事は年内に終わらせたいです。

  大学教員は、学生と同じで休日や祝日の感覚(ありがたみも含め)が欠落してしまいがちです。

私は絶賛独身農民を邁進中ということもあり、授業がない日は大学外で過ごすことが多いのですが、雑用が降ってこない日曜日はよく出校しております。(共同研究室なので、一人の時にしか音楽の音量上げられません。)

  さて、本日は大学教員が大学から配分される個人研究費についてです。本校では12月に入ると来年度予算の作成のために、各教員にも個人研究費の予算執行案を作れと指示が来ます。

  この個人研究費は、専任教員に与えられる給与以外のお金であり、教員の研究活動に対する助成金のようなものです。研究に必要な書籍、備品、器具などの購入費用や調査研究や学会出席のための旅費宿泊費用などに充てることができ、研究者にとって他の研究者と競争せずに得られる大変ありがたいお金でございます。

  もちろん、後払い精算で、しっかり領収書等の書類提出が求められますので、良識の範囲での執行が求められます。(学生の皆様の学費の一部でもあるので当然ですよね。)

   気になる個人研究費の額ですが、これも大学によってまちまちですが、私(任期付き助教)の場合、年額で20万円を予算として計上することが出来ます。うちの大学では、講師で40万円、准教授で50万円、教授で60万円なので、講師以上の先生は社会科学系では、かなり恵まれていると思います。

  私もこの貴重な20万円で、書籍(専門書誌は無駄に高いですが、お互い持ちつ持たれつですので致し方ないですね。)を始め、執務用のノートパソコン、ICレコーダーなどの研究器具や、各種出張費用として活用させていただいております。

  非常勤講師の方は、大学からの個人研究費がないのがほとんどなので、専任教員の大きなメリットの一つでもあると思います。(引き換えに多様な学内業務を課せられますが。)

  なお、社会科学系の研究者は、大規模な実験器具等を必要としない研究(あっても統計ソフトくらいかと)が多いので、不思議なものに研究費を充てる強者もいらっしゃっいます。(よく承認おりたなぁとびっくりするものもちらほら。)

  例えば、歴史研究の先生が今流行りの中国の歴史漫画(キング◎ム)をフルコンプリートしてたり、非言語コミュニケーション研究の先生が、サラウンドモニター付きでニン◎◎ドースイッ◎を研究室に完備してたりと言うのは序の口です。(ちゃんと研究活動に使用されていらっしゃいます!)

   私は、お偉い先生方が吹けば飛ぶような身分なのでアグレッシブな活用は出来ませんが、ある意味こういう自由な自治(発想)が研究者には必要なんだと信じたいですね〜。