社会人出身の大学教員(社会科学系) 萬日記

このブログは、社会人経験10年後に大学教員(関東中堅私大)になった36歳おっさんの日常の雑感を綴ったものです。

社会人から大学教員になるためには(ざっくり概要)

  こんにちは。本日は、担当授業がないため、以前に書き溜めていたブログネタを一気に放出してしまいましたが、すべて副業(派遣バイト)ネタであったことに気づきました。

 それでは、いかんと自省を込めて、私自身も経験した「社会人から大学教員になるために」について少し書きたいと思います。

 このブログをお読みいただいている読者の方の中には、まさに「今は社会人として企業に勤めているけど、いずれかは大学教員への道を考えている」という方がいらっしゃるかも知れません。

 私は、学部(大学生)の4年次に採用試験に落ちたため、就職はせず、他大学の大学院(修士課程)に入学しました。

 大学院(修士課程)の修了の後は、そのまま博士課程に進学をしたかったのですが、当時のお師匠(教授)の金言(今のままでは、進学は無理だよというアドバイス)があり、一般企業に就職した経緯があります。

 そこから、3~4年は普通に働いていたのですが、たまたま仕事の内容が、大学院(修士課程)時代に研究していた内容に近いものだったので、5年目あたりから再度の大学院進学(博士課程)に向けての準備をし、社会人6年目で仕事をしながらの大学院生(博士課程)になりました。

 今、思えば、人生で一番きつかったのがこの博士課程に在籍していた時期だと思います。ただでさえ、本業の仕事がようやく一人前になってきたころに、博士論文の執筆をしなければならないという苦行でした。

(独身者じゃないと無理だったかなぁというのが正直な感想です。)

 博士課程在籍は基本は3年なのですが、自然科学系のそれとは違い、社会科学系の博士課程は最短3年で修了できる人なんてめったにいない状況でした。(当時は)

 だいたい博士課程の指導教官ですら、博士号をお持ちでない方の方が多い状況だったので、いわゆる「定年退職前の名誉」的な位置づけに博士号があるような時代でした。

(つい最近のことですが)

 結局、私自身は在学5年目で何とか修了することができ、博士号を取得することが出来ましたが、相当な幸運が重なった結果であったと自他ともに認めているところです。

(当時の文科省の通知で、博士をいっぱい出しなさい~という内容の御触れが各大学に出ておりました。)

 文科省の御触れと博士課程時のお師匠(教授)の定年退職が重なるというスーパーラッキーの賜物でしたので、もう一度同じスーパープレイをしろと言われても絶対に無理です。

 そんなこんなで博士号を取得した上で、転職活動(大学教員への就職)を始めたのですが、結局就職まで丸1年超かかりました。(これでも超幸運だと思います。)

 働きながらの転職活動でしたので、無職からの転職活動とは違い若干の余裕があったのも、就職活動期間を延ばした原因であることは否めませんが、絶対的に公募数に対しての応募者の割合が高すぎることがあると思います。

 社会科学系に限らず、業界でよく言われることなんですが、

・「地方私立の任期付き助教」の公募に100件以上の応募があるのは当たり前。

・応募者の基本スペックは博士号取得者で、中には海外での博士号や旧帝大博士号の取得者などの強者でさえ、応募してくるご時世(それだけ公募がない)

 という話は、今現在も良く聞く話です。

また、社会科学系の公募に限らず、だいたいの公募要件に、

・「なお、大学等の教育機関での指導経験(教員歴)がある」

という非常に高いハードルがあり、分かりやすく言い直すと、

・「大学教員になるためには、大学教員の経験が必要です」というほぼ無理ゲーな状況がございます。

 このほぼ無理ゲーなハードルを越える手段は、大学院在籍時に非常勤講師を経験するくらいしかないという、普段の仕事がある社会人学生にはなかなか難しいハードルです。

 このようなハードルを越えてかつ、上記のハイスペックスーパーマン達との闘いに勝ち抜き、ようやく大学教員になれるのが、実情です。

 またの機会に、もう少し詳しく書いていければと思います。